

ひるますHOTLINEは、インタビューや雑談をお届けするひるますの気まぐれコーナー。今回は、さしち対談の第2弾、をお送りする予定でしたが、インタビューの書き起こし作業などの時間がなく、内容的にもさらに追加したいということになりましたので、恒例となった「日本世間学会」研究大会の報告をいたします。世間学会の概要については、すでにユニ通 信Vol.4で特集してお知らせしましたので、そちらもあわせてご覧ください。
ユニで事務局を引き受けて2度目となる今回、第11回世間学会大会は6月26日土曜日、神田神保町の岩波セミナールームにて開催されました。
今回は大会のすぐ前に、学会の中心メンバーである佐藤直樹さん(九州工業大学教授)の新刊『世間の目』(光文社刊、下段コラム参照)が発刊され、朝日新聞の書評ほか各メディアでとりあげられたため、事務局であるユニにも問い合わせが殺到!、というと大袈裟ですが、とても真剣な、主に共感の声をいただきました。そういった問い合わせをいただいた皆さんにも学会の発表会のことをお知らせしていたので、そちら経由からも新しい参加者も増え、大会も盛り上がりました。
今回の第11回となる大会では、福岡大学大学院の市川新氏の「水利権・入会権から見た世間のあり方に関する一考察」、三条市市議会議員の米田美智子氏による「社会人として、次世代が育たない今の日本〜なぜ?どうする?」の二つの発表がありました。
市川さんの発表は古くからの水利秩序が社会的関係の決定要因になっているという指摘から、具体的に水利秩序と共同体、世間の構造を分析し、その歴史的変遷などを考察。米田さんの発表は市議となる以前の米田さんの教師としての体験談をまじえつつ、「世間」というあり方の中で、子どもたちが個人として成長できなくなっている状況を指摘し、これからの教育について提言する内容となりました。いずれも集まった会員との質疑応答が盛り上がり、様々な意見が交換され、有意義な発表会となりました。
ブログにもチラっと書いたが、「世間」というのは、そう指摘されるまでは「水や空気」みたいに無自覚にその中にいるもので、それを意識して見ることで新たな「見方」ができるわけだけど、ようするにそれはある種の「切り口・見方」なので、それと自覚してしまえば、なんとなくもう分かった気になってしまうごときものでもある。
僕もはじめて「世間学会」を知った時には面白い!と思うと同時に、でも例えばそれを初めに指摘した阿部謹也さんが言ってる以上の新たな研究なんてありうるの?という疑問があった。しかし、こうして世間学会の発表につきあっていると、まるでそんな疑問は杞憂だと思い知らされる。
つまり、次々にあらたな問題というか、語るに値するテーマが掘り出され、このテーマについての関心がつきることもない。
個人的には、前回の報告でも紹介した阿部謹也氏の「歴史意識」、私流に翻訳すると「実存」の問題が、世間というテーマの中からヨリ一層きわだってくるようで、非常に興奮している。世間というあり方の中には絶対にないもの、つまり脱-世間的なものとしての愛、美、永遠、ということを、質議応答の中で阿部氏が語られていた。そういったこれまで「イデア」というか、抽象的なものとして軽く見られていた「観念」が、いかに人が生きるという意味での「実存」に深くかかわるものであるか、それがこれからのテーマであるように思う。今回の発表にあった「教育」の問題、いかに子どもに文化を伝えていくかの困難さの問題も、そこに繋がっていることなのであろう。ちなみに私も「カルチャーレビュー」に「文化って何なんだ〜」を書いたので、ぜひご覧ください(笑、宣伝です)。
というわけで、発表もつつがなく修了し、一同は「懇親会」へ。今回は世間学会御用達の高級居酒屋「旬里」。いつもは大会で自己紹介の時間をとってるのですが、今回は質疑応答が長引いた関係で、急きょ、宴会場での自己紹介タイム〜となりました。こちらもいろいろな人が日頃あたためているテーマを断片的ながら聞くことができ、非常に盛り上がりました。著名な方では、浅羽通 明さんなども参加されております〈浅羽さんは、ちくま新書から2作品同時刊行されている著書、『アナーキズム』『ナショナリズム』が好評です〉。
ちなみに『世間の目』が好評の佐藤直樹さんですが、なんと!7月16日のNHKテレビ「視点・論点」に出演されることが決定しました。ぜひご覧ください。コレを機に、佐藤さんもテレビコメンテーターとしてひっぱりだこになったりして??
世間学会や佐藤さんの本など、お問い合わせはユニまで!

第11回研究大会会場(岩波セミナールーム)
おかげさまで今回も大盛況となりました。

一人目の発表者、市川新氏 (右) と二人目の発表者、
米田美智子氏(左)。

質議応答タイム。常に重厚な問題意識を提起する
阿部謹也氏。

御存じ、佐藤直樹氏。

懇親会は神田神保町の旬里。
メインはすっぽん料理の高級店ですが、
宴会コースはリーズナブルで世間学会でも
御用達となっております。
2004年07月05日 07:37 by hirumas | トラックバック (0)
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